人間というものは何処までも、挑戦する力と野望を持つ「生き物」であるらしい。
年明け早々に目にした記事が「グーグルが人工知能で囲碁の謎に挑む・・」であった。
人工知能が過去20年間に亘り、人間の作った知的ゲーム(チエス・将棋・オセロ・スクラ
ンブル・バックギャモン・ポーカー)を完全制覇してきた事から、ソフトウエアー開発者
達がコンピューターはどんなものにおいても人間に勝てるものではないか、と思い込んで
しまったようだ。研究者達は言っている「囲碁は最も難解だがマスターする方法として十
分な数の囲碁の手をインプットすれば囲碁をプレイできるようになるのだ!」と。
また、「チエスは選択可能な手の平均数は35通りだが、囲碁は250通りの手の後にまた
別の250通りが・・昔からの課題で途方もなく難解だが魅力的な課題である!と。
それは当然の事、つまり、囲碁は「無限」を追及したものでるから、一手打つたびに手が
増えるのだ。難解な囲碁をその中の一つのゲームとして捉えるならば、競ってソフト開発
に取組むのも悪い事ではないが、完全制覇は先ず無理と言わなければならない。
既に出ているゲームソフト「最強の囲碁」シリーズがあるが、囲碁も他のゲームと同様に
する等と、大それた事を考えるのは、大きな間違いである事を知っておく必要がある。
何故なら、この囲碁は知的ゲームとして作られたものではないと言う事に淵源する。
古代中国において、堯帝が愚息のために「人間学」として作られたのが囲碁であり
其処には縦横からなる交点に人間の「心」の介在があり、19路盤は「361」の中心を
「一極」として「人間の心次元」の場所とした。囲碁では一極を「天元」と称している。
一極を中心に360度の大宇宙と其処に住む人間小宇宙をイコールであるという発想の基
に碁盤を作ったのである。
大宇宙と小宇宙を一極二元に分け更に其々を陰陽の白黒で表わす。その思想こそが囲碁で
あり、現代科学や人間の小さな知性、更には西洋思考を以ってしては、到底、追及しても
太刀打ち出来ないという、大きさを持つ思考法なのである。
また、「極」はそれぞれの心次元であることから、「伏せる事を常とする」との謂れがある。
囲碁の縦横は平面・立体五行説と段差五行説(次元)を現し、白黒は陰陽説の中でも最も
複雑な「塔崇陰陽論」の構造から成る。そして、「極」となる「心の介在」の読み込みを
必要とする難解な代物が「囲碁」なのだ。そして、無限の追求は未来永劫の「劫」世界な
のである。無限を追及するのに有限の力を以ってしても捕まえる事は出来ないのは理の当
然として、しかし有限の世界にあるからこそ「無限」は魅力的となるのではあるまいか。
人工知能と人間の知性を合わせて何度挑戦しても完全制覇の無理が其処にある。
囲碁脳を作るためにグーグルとフェイスブックがデイ−プラーニングを構築しているとの
話だが、先ずこの思想を軸に自然界と「人間の次元」に付いて学ぶのが先ではないか、と。
囲碁にまつわる開発競争に勝つための手段「囲碁の謎」が、実は此処にあるのである。
尚、次元の上昇とは自然と一体になる事であり、自然の姿に近づくことにある。