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民意の落し穴

英国の国民投票の結果が出た。
離脱支持51.7%、残留支持48.3%であり、その差の約100万人の民意で全世界73億人の人々が何らかの影響を受け始めている。そしてそれは一人の男性が正義感から民意を確認しようとしたことから全てが始まった。

しかしこれは決して他人事ではなく、我々の周りでも何度も繰り返されており、民意を表したことで国民は自分で自分の首を絞める結果となっている。
「自民党をぶっ壊す」と叫んで民意を聞く選挙で大勝した政治家の政策により、大型店舗が乱立し、日本中の商店街がシャッター通りになった。また全国の国道は同じブランドの店舗で構成され、地域的な特徴を全く失う結果となった。そして企業を優先した雇用体系の変革により、結婚して子供と持つことが出来ない若者が増え、少子化問題に拍車をかけ、極貧の家庭環境を生んでいる。
最近では「経済優先」を訴え、民意を聞く選挙で大勝した政治家は「秘密保護法」や「安保法案」など本当の民意を無視して強行成立させ、今度は大勝して「憲法改定」を目指している。

歴史的に見ても民意は全ての過ちのキッカケとなっている。
ヒトラー率いるナチスも独裁権力を握れたのは国民投票の結果を得て、議会が「全権委任法」を可決し、立法権を委ねた。つまり合法的に民意の支持を受けて成長し、第二次世界大戦の惨事を生んだ。
日本では昭和12年の支那事変で南京攻撃開始を「南京陥落」と誤報したため、女性達が提灯行列を行った。しかし政府・陸軍が訂正しなかったこともあり、軍よりも大衆が戦争に酔い歓迎した。そして国民が「南京陥落済」と思っていたことからも、陸軍の焦りはかなりであり、目的のために手段を選ばない軍団であったことは充分想像出来る。また、その後に反戦演説した政治家を除名処分することに民意は賛成した。その結果あの太平洋戦争へと進み、広島・長崎の悲劇を生んだ。つまりこれもまたキッカケは民意であった。