アップルの次元
アップルの次元
「審美眼」と東洋の「初心」を解す、ステイブ・ジョブズは2011/10/15に去り、
亡き後を継いだアップル社、テイム・クックCEOは言っている。
「我々は最初に見た時よりも良い世界を残す」と。会社の姿勢においても合理的利欲追求
に走らない姿勢も見せている。アップルの思考は奔放である。そして、奔放の中に破格の
精密な構成がある。又、見事な均整がある。外形は科学的、中身は芸術的というより人間
の思考と意識の世界にもタッチするもの、これは、ロゴスとパトスの合体する不思議な混
沌の世界である、と言えるのではないか。外形は科学的進歩を感じさせ、中身においては
過去の異次元空間を現在に移動させた感が強い、つまり、人間の初期化に似ている。
つまり、時間と空間で考えた場合「空間は常に現在」である、という事である・・・。
・・昔の話に、こういうのがある。ある身分の高い屋敷に大工が呼ばれた。家主はその時、
難しそうな本を読んでいた。
大工:ご主人様は何の本をお読みになっているのですい?
家主:偉い人が書いた本をよんでいるのだ!
大工:その本を書いた人は、今、生きておいでですかい?
家主:イヤ、歴史に残る人物だから、もう、とっくに無くなっている。
大工:そうですかい。なら、カスだな!
家主:何を言うか!大工の分際でお前に何がわかるか。その訳を話せ!
下手ないいわけでは命が無いぞ!
大工:はい、旦那様。申し訳ないですが、これは真面目な話です!
私は長年、大工仕事をしていて思うのですが、実は息子に仕事を教えようとしても、ここのこの曲り方・・削り方、力の抜き方等、長年の経験で得たものは、経験でしか教えられないのです。つまり、人に口で教えられないものを、まして本に書くなどは出来ません。ですから、書かれたものは肝腎要が抜け落ちた「カス」だ、と言ったのでございます。
余計な事を申し上げました。はい。
・・アップル製品にマニュアルの存在が無い理由がここにあると考えられよう。
これは、納得のいく話ではないか、と。
えつ、アップルの次元? 「次元は伏せる事を常とする」と伝わりますから・・。