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「二桃三氏を滅す」

何時の時代にあっても、簡単に身を滅ぼす人物は多い。

また、身を滅ぼす原因も様々である。

家を滅ぼしてしまうかどうか、わが身を滅ぼしてしまうかどうかは

ひとえに気持ちを引き締めて生きるかどうかにかかっている。

常に自己練磨・事上練磨の心がけで、慎重に対処すれば

誰でも成果が上がるはずを、気持ちがだらけていて手を抜けば、

あらゆることが失敗に終わる。

身を滅ぼした連中はみなこれが原因となっているようだ。

どの時代であっても、何処にあっても「油断禁物!」心されよ!!

さて、此処に奇計で豪傑を自滅させたという面白い話がある。

紀元前の話、中国は斉の国の「晏嬰」
は知略に長けた名宰相であった。

「二つの桃」を持って三人の勇士を自滅させるという奇策を用意。

実はこの勇士三人は景公が養っていた者達だったが「君臣の義」がなく

持て余していたのを晏嬰が「長幼の序」という考えがないことと智の

ない事を利用して自滅に追い込んだ話である。

わざと少ない二個の桃を贈らせるよう求めて「あなた方三人の事ですから

互いの手柄を比べてからでなければ桃を食べられますまい
と。

人は多く桃は少ない。どうして手柄を比べないで桃が食べられようか。

公孫接・田開が桃を取る・・手柄を競う・・そして最後に古治子が

「この私の手柄こそは一番でまさに桃を食って良いのに、

お二人はどうして桃をわしに返さないのだ!」と剣を抜いて立ち上がった。

二人は「・・わしらの勇気はとてもあなたには及ばない、手柄も及ばないのに

桃を取って譲らないのは正にさもしいことだ。しかもあなたに劣るのに

のうのうと勇者ずらして死にもしないのは勇気のないことになる」

と言うと、二人とも桃を返して、首をはねて自殺した。

古治子は、「二人が死んだのに、わし一人ばかりが生きているのは

不仁なことだ。このわしだけが桃を独り占めしてどうしてよかろう」

と言うと、やはり桃を返してから首をはねて死んだ。

使者が報告して、「既に三人とも死にました」


知恵者、晏嬰の奇策は成功!勇気はあるが「長幼の序」がないことで

勇者三氏が巧く利用された「二桃三氏を滅す」と言う話である。

今も昔も、このような話は枚挙にいとまがない。

方方、奇計には用心せられよ!